「アスペルガー症候群」ってなに?
言葉は聞いたことあるけどよくわからない。という方が多いと思います。
今回は私の塾で出会った「アスペルガー症候群」の生徒についての話を例に、アスペルガー症候群の子供についてご紹介したいと思います。 

アスペルガー






① アスペルガー症候群とは

コミュニケーションや興味について特異性が認められるものの、言語発達は良好な人の障害。自閉症スペクトラム障害の1つで、特定の分野への強いこだわりを示すが、自閉症に共通する知的障害および言語障害をともなわない。
※ Wikipediaより

とあるように発達障害ではあるものの、知的・言語障害を伴わないので、一見すると普通の人とかわりがないように思えます。というよりも、特定の物事に強い興味を示すため、むしろ普通の人よりも特定の分野に関する知能が優れているように感じます。

発達障害について詳しく知りたい方は厚生労働省のホームページへ→こちらをクリック




② アスペルガー症候群の生徒と向き合う


私が出会ったアスペルガー症候群と診断されていた生徒は、勉強面でいうと非常に優秀でした。

確か2010年頃だったと思います。中学3年生の4月に入塾してきた彼は、平均して全科目よく出来ていましたが、少し数学が苦手ということでした。
※アスペルガー症候群の方でも数学が得意方はたくさんいますので、個人差があるようです。



入塾の際に、保護者の方から


・アスペルガー症候群であること
・対人関係が苦手であるということ


を具体例と共に教えて頂きました。


この頃、アスペルガー症候群は世間でもほとんど知られていない時代だったので、私も正直戸惑いました。

保護者の方とその生徒と面談をし、トップ校を目指す集団授業のクラスに入ることをお勧めしました。



なぜなら、面談の様子を見ていて、

よくいる「変わった子」

だと判断したからです。今までも何人かこういう「変わった子」が教室にいましたし、きっとその生徒たちもアスペルガー症候群だったんだと感じたからです。

時代が追いついてなかったんですね。


アスペルガー症候群だという診断を受けなかっただけの子たちが毎年いたかもしれないな?と思いました。

※ちなみに、この時の私は、中3生だけでも100人を超える生徒が通う塾の校長をしていました。



一年間一緒に頑張った結果、トップ校といわれる公立高校に見事合格しました。この子の努力は実りました。




③ アスペルガー症候群ならではの言動


では、このアスペルガー症候群の生徒(彼と表現します)が一年間全く問題を起こさなかったかと言うと、そうではありません。


例えば
  • 空気を読めず、授業解説中に手を挙げて質問をする
  • とても細かな説明をしたり、丁寧すぎる敬語を使う
  • 怒られている意味を理解できない時がある

という事はたまにありました。ですが、これらは周りに多大な迷惑をかけるものではありませんし、同じクラスの生徒たちにはアスペルガー症候群の特徴も説明していましたので、彼の言動を理解してくれていました。

また、常に座席は一番前の一番端に決め、いつも教員の視界に入る位置で授業を受けてもらうようにしましたので、特に大きな問題はありませんでした。



しかし、
その安心感が問題を起こしてしまいました。



④ ついに起こった事件


入塾して8ヶ月ほど過ぎた頃、自習室で同学年の生徒と殴り合い寸前の喧嘩をしたのです。

彼が胸ぐらを掴まれ、押し倒されたところで私が止めに入れたので、大きな怪我はありませんでしたが、流石にヒヤヒヤしました。


話を聴くと、受験期ピリピリした雰囲気の自習室で、ペラペラと友達と話をしていたらしいのです。

周りの子が
何となくマズイんじゃない?
と気がついても、彼は空気を読めず、会話をやめなかったそうです。


それに腹を立てた他の生徒が
「うるさい」
と怒ったが、彼は無視をしたので、そういう状況になったみたいです。

※彼にとっては無視をしているつもりはなく、どういう状況なのかを整理していたのかもしれません、


私も大丈夫だろうと
気が緩んでいました


喧嘩をした相手は、彼とは別のクラスの生徒で、
彼がアスペルガー症候群だとは当然知らなかったのです


完全に私のミスでした。





一部始終を保護者の方にすぐ連絡。

保護者の方は、
「こういう事は想定内の事です。お気になさらないで下さい。」と仰ってくれました。

その後、彼は自習室には来なくなりました。多分、彼なりの気遣いだったと思います。


彼にとっても私にとっても、良い経験になりました。



⑤ 感想

卒業の時に初めてわかったことなのですが、入塾するまでに保護者の方は、アスペルガーなのに塾に入れるのか?入っても皆さんに迷惑をかけないのか?という事を非常に気にしておられたようで、一年間悩んでいたらしいのです。

しかし、学校の先生に相談し、勇気を出してダメ元で塾に問い合わせたそうです。まさか、大手塾に入塾できるなんて!まさか、集団授業のトップクラスに入れるなんて!と驚きと不安でいっぱいだったと仰っていました。


塾としては、アスペルガー症候群だからといって差別することや拒むことは一切ありません。不安であれば、個別指導を選択してもよいと思います。

でも、今回のケースで私が集団授業に入ってもらった真の理由は、うちのトップクラスの生徒たちなら彼を受け止められると信じていたからです。


塾長とはそういうものです。自分の担当している生徒の性格は全て把握していますし、生徒たちを良くしたいと真剣に思っています。今回、私はトップクラスの生徒たちに「人生勉強」をしてもらいたかったのです。アスペルガー症候群の彼の特徴や言動を理解した上で、仲間として頑張っていくことや、チームとして向上していくことを学ぶよい機会だと判断しました。

きっと、社会に出てもそれは役に立つ力になっていると思います。


もちろん、私にとってもよい勉強になりました。アスペルガー症候群の子どもとの向き合い方、気配り、注意すべき点を知れたのは、彼のお陰です。

本当に感謝しています。



皆様にも参考になったことがあれば幸いです。