私が担当してきた3000人もの生徒の中には、右指がない子どもがいました。でと彼はとても頑張り屋さんです。


今回はそんな「彼から学べる子供への発信」をご紹介したいと思います。


お気づきの方もいるかもしれませんが、人間という生き物は「多少の壁」があった方が伸びます。不利な環境下にいる人の方が努力できたり感謝する気持ちを持っているからです。

私が出会った彼もそうでした。
悔しい思いや辛い思いも沢山してきたと思いますが、それでも努力している彼を私は応援しています。

身体障害







① 彼との出会い


中2の冬、彼は入塾しました。
誰が見ても美男子!なのに、どことなく影を背負っている…そんな雰囲気の彼。入塾テストの時に、右手の5本指がないことにすぐに気がつきました。

左手で器用に文字を書き、指のない右手で紙を押さえています。驚いたり戸惑ったりすると失礼かと思い、なるべくさりげなく

 「右手、どうしたの?」と聞きました。
彼「生まれつきです。」
私「そっか、苦労することもあるんじゃない?」
彼「あ、そうですね。」
私「何か困ったことがあれば気にせず言ってね。」

あまり深入りできる関係でもないですが、塾長という立場上は触れない訳にはいきません。指のことに関しては少し触れた程度でした。

これが彼の影の正体なのかな?

そう思っていました。





② 高校受験という壁


彼には、絶対合格したい志望校がありました。
分からない問題があると必ず授業後に残って質問をしてくれていましたので、彼との信頼関係も思ったより早く構築できました。


彼の悩みは数学と副教科と言われるような(美術・保健体育・技術家庭・音楽)です。

「指がないから…できない!」

と彼が言ってきたことは一度もありません。

「どうやったらできるだろう?」

といつも相談に来ます。

ここで、私が住んでいる地域では、公立高校に合格する必須条件が内申点の確保です。内申点というのは、いわゆる通知表の評定です。9教科すべての評定が内申点となりますので、彼が得意な「国・英・社・理」以外は5教科分が苦手教科になってしまいますよね。

目標としている公立高校に合格するためには、苦手な5教科を何とかしなければなりません。


さて、
もしあなたが彼の立場なら、どんな気持ちになりますか?
または、
あなたのお子さんが同じ境遇なら、何と声をかけますか?


そもそも、諦めずに・腐らずに、どうやったらできるだろうと考えている時点で、私は心が締め付けられる思いでした。

私が彼にできることは何だろう?


答えは、相談にのることです。

どんなに忙しくても、彼の為に時間を割く。
しっかり話を聞いてあげる。
的確なアドバイスをする。
勇気が出ないときは背中をおしてあげる。
心が折れそうな時は大丈夫と言ってあげる。
常に見方でいてあげる。

それが、私にできる事です。

数学の質問に理解できるまで教えてあげることなんて、塾の先生として当然のこと。私にしてほしかったことは、「話を聞いて」だったのだと思います。




③ 努力が実る


結局、彼は友達に夜遅くまでバレーボールを教えてもらったり、お母さんに茶わん蒸しの作り方を教えてもらったり、自分ができることは全てやっていたと思います。

頑張り屋さんな彼は、当然成績も良好。

最後まで諦めずに頑張り抜いた結果、志望校に合格しました。
本当にうれしかったです。


勉強や練習の努力って、時として裏切ることがあるんです。
まだだめだ!と言われているかのように、やっても伸びない時期ってありますよね。
でも、それにはちゃんと原因があって、ポイントがずれていることをやっていたり、頭に入っていないことがあると結果が付いてきません。


私が心配したのはここなんです。
彼のやってきたことは確かにすごい。でも、自宅で学習しているとき考え事をしながらやっていないかな…と心配でたまりませんでした。
もしここで不合格になるようなことがあれば、彼は自信を無くしてしまうのではないか…。

彼の抱えている影は一体何だろう?
それがわかっていればここまで心配していなかったかもしれません。





④ 彼の想い


合格した時、彼は初めて彼の悩みを打ち明けてくれました。


中学2年生から付き合っている彼女と別れたなかったから、どうしても同じ高校に行きたかった。(内申点がとれないからいけないだろう…。)

ジャニーズ事務所に入りたい。(指がないから気持ち悪いと思われるだろう…。)

でも、親には言えない。
指がないことを理由にすると悲しませるから…。



本当は入塾するまでそう思っていたそうです。
でも、環境を変えたことが彼を変えたそうです。



【彼の言葉を要約】

塾に入ったことで、必ず勉強する環境を与えてもらえた。塾のトップクラスでみんなと同じように当たり前に勉強する環境ができた。内申点もみんなと同じように取りたかった。

授業の後に質問した。そこで質問を用意しておくと、先生が相談にのってくれる。だから、難しい問題にチャレンジするようになった。先生に相談したかったから。


なんとなく見えた影は、やはり指へのコンプレックスでした。

本当は「指のせいで、できない!」と思っていたのですが、親と先生にそれを言えない環境を与えてもらえたと彼は言っていました。





⑤ 環境をかえよう!


彼のように身体的な障がいを抱えているお子さんは沢山いると思います。彼らの中には、ある一定の年齢になると親にも自分の気持ちを隠してしまう子もいます。親が悲しむからと。
でも、何かにチャレンジしたい!自分を変えたい!そう思うなら、是非塾に行きましょう。
周りの目が気になるときは、個別指導もあります。

塾は勉強だけを学ぶ場所ではありません。

きっとあなたの話を聞いてくれる先生が、あなたのことを待っていますよ。